【報告】第7回Break Talks「テーマ:誰もが楽しめるボルダリング」(2023.3.8)国際女性デー特別企画

3月8日(水)の国際女性デーに、第7回BreakTalksを開催しました。今回は国際女性デー特別企画として、住友商事株式会社(以下、住友商事)(※1)が共催。ゲストに、東京2020オリンピックの日本代表で住友商事が応援しているプロクライマーの原田海(はらだ かい)選手をお招きし、19人の参加者とともに、「誰もが楽しめるボルダリング」をテーマに対話をしました。

原田選手は、2018年の世界選手権ボルダリング種目で優勝を飾り、東京2020大会でも日本代表として出場するなど、国内随一の才能を持つ選手として活躍しています。「自分に打ち克つ」ことを信条とし、日々セルフプロデュースを実践する他、クライミングの魅力を広めるためにさまざまなメディアでの発信も行っています。

イベントは原田選手とモデレーターの折目真地さん(S.C.P. Japan)のトークセッションから始まりました。原田選手は競技を続ける傍ら、クライミングの普及活動もされているそうで、「ボルダリングがスポーツクライミングの中の3つの競技のうちの1つで、道具を一切使わず、高さ4メートルから5メートルの壁を自分の身体のみで登る競技である」と、基礎知識を参加者に共有しました。

原田選手は幼い頃に、偶然立ち寄ったクライミング施設で、性別や年齢などに関わらず誰もがクライミングを楽しんでいた様子を見てクライミングに惹かれたよう。「競技が始まる前に登るルートを下見し、選手同士が登り方を話し合う時間が、クライミングの特徴であり、魅力である」と語りました。

母子家庭で育った原田選手にとって、クライミングとの出会いは特別でした。「家で一人でいる時間が長くつらい時もありましたが、クライミングに出会ってジムで仲間と練習をして、夢中になれる時間が作れた」とのこと。子どものサポートをしている非営利団体と積極的に関わるのも、子どもたちに夢中になれるものを持ってもらいたいとの思いがあるとのことでした。

また、クライミングは、男女の差をあまり感じにくい競技のようで、「同じクライミングの課題を前にしても、女性の方がパフォーマンスが高いことも良くある」と原田選手。クライミングは女性もチャレンジしやすい競技であることが伺えました。

トークセッションの後は、パネルディスカッションが行われ、障がい者のクライミング普及活動をしているNPO法人モンキーマジックの白井唯さんとS.C.P. Japanで障がいのある女の子の運動プログラムを担当している井上由惟子さんの2名が加わりました。

モンキーマジックは「見えない壁だって超えられる」をモットーに、視覚障がいの方を対象としたクライミングスクールとして始まり、今は多様な障がいのある方にも参加いただいているそうです。白井さんは「視覚障がいのある方は、手で握るホールドの位置や色が見えないのでHKK(方向・距離・形)という独自の手法でホールドの位置を伝えている」と紹介しました。

一方で、障がいのある女の子が運動に参加することが難しい状況にあると井上さんは感じています。S.C.P. JapanのFind Funスポーツ教室は、知的障がい、発達障がいのある女の子のためのスポーツ教室です。「障がいのある子ども向けの運動教室をすると男の子の参加が圧倒的に多い。女の子に特化したプログラムを始めたところ、毎回10人程度の参加者が来てくれている」と、障がいのある女の子へは異なるアプローチが必要であったと話しました。

原田選手は「運動能力や性別に関わらず、強い選手も沢山いる」とクライミングの特徴を教えてくれました。みんなで助け合い、競技をしながらも、個々の特徴に合わせてチャレンジできる空間があるクライミングの魅力が紹介されました。

最後に、運動の場が楽しくあるここと、そして安全・安全に自分らしいチャレンジが積み重ねられる場所を提供していきたいとディスカションが締めくくられました。

S.C.P. Japanは、BreakTalksを通して今後も多様なゲストや様々な活動を紹介し、多様な人々が集まる場となることで、多様性や共生社会についてより深く考えるきっかけを作りたいと考えています。

今回のイベントは、住友商事株式会社(以下、住友商事)にご協力いただき実施にいたりました。S.C.P. Japanが住友商事の「100SEED」(※2)に所属するメンバーから、営業資料の作成をサポートいただいたことがきっかけです。

■住友商事プロボノチームのS.C.P. Japanへのご支援に関する詳細はこちら:

本企画を実施するにあたり、参加を快くお引き受けいただきました原田選手、白井さん、協力団体としてご尽力いただきました住友商事の皆さま、手話通訳者様、そしてご参加いただきました参加者及び関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

※1 住友商事は2018年よりゴールドスポンサーとして、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会に協賛。2019年からは、原田海選手とスポンサー契約を結んでいます。

スポーツクライミング | 住友商事 (sumitomocorp.com):

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/special/climbing

※2 住友商事の「100SEED」

世界各地の住友商事グループ社員が、「良質な教育」をテーマに、自ら対話し、積極的に参加することで、それぞれの地域社会の教育課題の解決に取り組む社会貢献活動プログラム

【告知】3月8日の国際女性デーに第7回「BreakTalks(テーマ:誰もが楽しめるボルダリング)」を開催!プロクライマーの原田海選手(東京2020オリンピック日本代表)を招き、共生社会について考えます。

BreakTalksは、「一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来を創る」を統一テーマに、多様なゲストをお招きし共生社会について議論するオンライン(時々オフライン)イベントです。多様なゲストの様々な活動を紹介し、お集まりいただいた参加者の皆さまと、多様性や共生社会について共に考えることを目的としています。

一般社団法人S.C.P. Japan(以下、S.C.P. Japan)は、住友商事株式会社(以下、住友商事)と連携して3月8日(水)の国際女性デーにオンライン交流イベントである「BreakTalks(※1)」を開催します。ゲストには住友商事が応援している(※2)プロクライマーの原田海選手(東京2020オリンピック日本代表)をお招きします。国際女性デーを祝して、テーマは「誰もが楽しめるボルダリング」。性別や障がいの有無にかかわらず、誰もが参加できるボルダリングをきっかけに、一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来について参加者と一緒に考えます。

※1
多様なゲストや様々な活動を紹介し、多様な人々が集まる場となることで、多様性や共生社会についてより深く考えるきっかけを作ることを目的に、2020年から約2か月に1回のペースで開催している交流イベントです。これまで「LGBTQ+」「子ども食堂」「インクルーシブな場づくり」「精神障がい」「トランス女性」「エシカルな選択」などのテーマでゲストと一緒に考えてきました。これまでの開催レポートはこちら:
https://scpjapan.com/breaktalk

※2
住友商事は2018年よりゴールドスポンサーとして、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会に協賛。2019年からは、原田海選手とスポンサー契約を結んでいます。
スポーツクライミング | 住友商事 (sumitomocorp.com):
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/special/climbing

3月8日国際女性デーに開催の「第7回BreakTalks」。ゲストはプロクライマーの原田海選手

BreakTalksは、「一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来を創る」を統一テーマに、多様なゲストをお招きし共生社会について議論するオンライン(時々オフライン)イベントです。多様なゲストの様々な活動を紹介し、お集まりいただいた参加者の皆さまと、多様性や共生社会について共に考えることを目的としています。

第7回の今回は、住友商事と共同で、2023年3月8日(水)の国際女性デーに開催します。ゲストには、住友商事が応援しているプロクライマーの原田海選手をお招きします。テーマは「誰もが楽しめるボルダリング」。障がいや性別に関わらず、誰もが自分らしく生きていける共生社会について、ボルダリングを切り口に考えます。

1.日時:2023年3月8日(水)20:00〜21:15
2.今回のテーマ:「誰もが楽しめるボルダリング」
3.イベント内容: ※内容は一部変更となることがあります。
  主催団体紹介/協力団体紹介/今回のテーマについて(10分)
  ゲストトーク(15分)*インタビュー形式
  パネルディスカッション(30分)
  Q&A (15分)
  まとめ/アンケート(5分)

4.登壇者
◆ゲスト:原田海(はらだ かい)選手
IFSCクライミング世界選手権2018 ボルダリング種目 金メダル
東京2020オリンピック競技大会 出場

<プロフィール>
1999年3月10日生まれ、大阪府出身。2018年の世界選手権ボルダリングでシニア大会初タイトルを飾り、21年夏の東京2020オリンピックに出場するなど国内随一の才能を持つ。 “自分に打ち克つ”ことを信条とし、自らの感覚と物差しを信じて進むなどセルフプロデュースを日々実践している。

◆パネリスト:井上由惟子さん(一般社団法人S.C.P. Japan共同代表)
2019年からはバルサ財団の日本におけるMethodological Coordinatorを担い、日本障がい者サッカー連盟の業務に関わる。知的・発達障がいがある女の子のためのスポーツ教室「Find Fun スポーツ教室(千葉県柏市)*」のプログラム責任者。2023年1月29日(日)は、プログラムの一貫でボルダリング体験会を実施。*Find Fun スポーツ教室はナイキ・コミュニティインパクト・ファンドの助成を受けて実施しています。

◆パネリスト:白井唯さん(NPO法人モンキーマジック/日本パラクライミング協会理事)
2021年よりモンキーマジックにて、障害の有無に関わらずクライミングを通じて様々な人が交流できるイベントや障害のある女性のエンパワーメント向上を目的としたチャレンジドガールズクライミングスクールなどのプロジェクトディレクターを担当。1月29日(日)の「Find Funスポーツ教室」では講師として、参加者のクライミング体験をサポート。
※モンキーマジックは、「見えない壁だって、越えられる。」をコンセプトに、フリークライミングを通じて、視覚障害者をはじめとする人々の可能性を大きく広げることを目的とし、活動しているNPO法人です。
https://www.monkeymagic.or.jp/

◆モデレーター:折目真地さん(一般社団法人S.C.P. Japanメンバー)
2021年4月よりS.C.P. Japanのジェンダー・LGBTG+に関する業務を幅広く担当。国内外でスポーツを通じたジェンダー平等及びLGBTQ+の理解促進に関するプロジェクトを実施。筑波大学スポーツ国際開発学共同学専攻を修了。

5.参加対象:誰でも参加OK!
 *日本手話通訳あり。UDトークなどをお持ちの方は併用でご使用ください。
6.方法:オンライン開催「Zoom」(オンライン会議システム)を使用
7.参加費:無料
8.お申し込み方法
こちらのURLからお申込みください。締め切りは2023年3月6日(月)18:00です。

*S.C.P. Japanは一人ひとりが自分らしく歩める未来を皆さんと一緒につくっていきたいと思っています。皆さんと情報共有をしたり、実際に多様な人たちが集まる場づくりを大切にしています。S.C.P. Japanの活動に賛同し、応援してくださる場合は、500円から皆さんのお気持ちに合わせて任意でご寄付をご検討いただけますと幸いです。

<BreakTalks応援寄付ページ>
URL:https://onl.la/6gke8yrhttps://forms.gle/5ACGaoN2pPfGyBL6A

S.C.P. Japanが住友商事「100SEED」のプロボノ支援を受け、営業資料を作成

S.C.P. Japanは2022年度、認定NPO法人サービスグラント(以下、サービスグラント)のプロボノ支援プロジェクト(※3)を通じて、住友商事の「100SEED(※4)」参加メンバーから営業資料作成のサポートをいただきました。S.C.P. Japanの持続可能な団体運営のために、法人の皆様に弊団体の取り組みをご説明し、協働事業及び支援をお願いするための資料として活用していきます。

今回のプロボノ支援において、住友商事には、細かなヒアリングや、弊団体へのプログラムへの参加など、寄り添ったサポートをしていただきました。スポーツをツールとして、障がい、女性、LGBTQ+、国際協力といった複数の課題に対して同時にアプローチをするS.C.P. Japanは、事業が複雑で、第三者にわかりやすく活動を伝えることが課題となっていました。また、団体としても2022年は3期目に入り、助成金だけに頼らない多様な財源を確保しながら持続可能な団体運営の土台を作ることが重要な時期となっています。

S.C.P. Japanが直面している課題は、多くの非営利団体が抱える課題と類似していると思います。多種多様な企業と事業を展開する住友商事の専門性の高いサポートにより、S.C.P. Japanの活動をより持続可能にしていくための準備を整えることができ、嬉しく思っています。

また、この度のご支援にあたり、様々なご調整をしていただいた、サービスグラントの皆様にも感謝申し上げます。

◆住友商事プロボノチームからのコメント
プロボノ支援としてS.C.P. Japanの事業と携わる貴重な機会を頂きました!皆様の常に前向きな姿勢から大きな刺激を受けました。人生100年時代、活動範囲、視野を広げるきっかけになりました。また我々メンバーの社内での声掛けが一つのきっかけになり、今回のイベントが実現に至ったことも嬉しい限りです。このご縁を今後も大切にしたいと思います!

※3 認定NPO法人サービスグラント
“社会課題を前に、誰もが行動を起こし、違いや可能性を活かしあいながら協働できる社会”を目指し、企業人の経験やスキルを活かした「プロボノ」によって非営利組織が抱える課題の解決に取り組むプロジェクト型支援のコーディネート等を行っています。2023年1月現在、プロボノ登録者は7,700人を超え、累計1,200件以上のプロボノプロジェクトを実施しています。公式ホームページ:https://www.servicegrant.or.jp/

※4 住友商事の「100SEED」
世界各地の住友商事グループ社員が、「良質な教育」をテーマに、自ら対話し、積極的に参加することで、それぞれの地域社会の教育課題の解決に取り組む社会貢献活動プログラム

【報告】第6回Break Talks「テーマ:エシカルな選択」(2022.9.22)

9月22日(木)、S.C.P.Japanは、第6回目となるBreakTalksを実施しました。今回は、稲葉 哲治(いなば てつじ)さんをお招きし「エシカルな選択」をテーマに開催しました。

稲葉哲治さんは、開成、東京大学から一転、中退して社会的ひきこもりを経験。その当事者性を活かしてセゾングループ人材会社にてNPO協働事業等を担当後、日立グループにて新規事業、若者キャリア支援会社起業、人事、人材コンサルタントを経て、日本最大の人事・HRメディアにて人事コミュニティ運営等に従事されました。

現在は『えしかる屋』の他、サーキュラーエコノミー×人事・働き方のメディア『サーキュラーHR』編集長、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するNPO法人GEWEL理事、ワールドカフェ・OSTファシリテーターとして活動中。エシカルを軸にソーシャルセクターでも活動し、鎌倉のセレクトショップ「えしかる屋」の運営やエシカルファッションショーのプロデュースなどで人と社会の関わり方の変革を行う他、ソーシャルビジネスのハンズオンインキュベーションも実施されています。

冒頭にS.C.P. Japan の折目が、今回のテーマに決めた経緯を紹介し、稲葉さんによるトークをお届けしました。その後、参加者が考えたことや感想を共有し合いました。稲葉さんに対しても質問が多く寄せられ、一つひとつ丁寧にご回答いただきました。

エシカルとは?

稲葉さんの自己紹介の後、そもそも「エシカルとは?」という問いかけからはじまりました。なぜこの言葉を今、考えなければいけないのか。それは、社会の仕組みが変わってきたことが大いに関係すると稲葉さんは言います。これまでは、大量生産、大量消費、大量廃棄が当たり前でした。言い換えれば、たくさん作り、どんどん使って、捨てる。モノだけでなく、人も同じです。畜産業も人道的なやり方から外れた工業畜産というやり方で、生産性・利益のみが求められてきたと言います。気候変動も森林伐採や人の傲慢なふるまいによるところが大きく、有限な資源を守るために今までのやり方を変えなくてはいけない時期に来ています。それこそ、持続可能な社会への転換期にきているのではないでしょうか。

SDGsはサステイナブル

国連が定めたSDGs。今や取り組む企業も増え、日頃、目にすることが多くなりました。実はその前に国連はMDGsという目標を定めていました。MDGsが、先進国が途上国の問題をどのように変えていくか、というところに観点を置いているのに対し、SDGsは一人一人が当事者。分け隔てなく、みんな同じようにゴールを目指そうという点に重点を置いています。言い換えれば、いい社会をつくる仕組みをつくっていこうという、サステイナブルの取り組みです。

「サステイナブル」と「エシカル」の違いとは?

同じ言葉だと思っている人が多いのですが、明らかに違う点があると、稲葉さんは指摘します。サステイナブルは、いわばハード面であり、より良い社会をつくるための仕組みです。社会のあり方で、制度やビジネスモデルだとも言えます。一方で、エシカルは倫理であり、行動規範です。ソフト面であり、個人の価値観だとも言えます。

例えば、アーミッシュと呼ばれる人たちがアメリカには住んでいます。彼らはテクノロジーやデジタルなものから距離を置き、中世と同じような暮らしを今でもしています。しかし、私たちも彼らのように江戸時代と同じような暮らしをしろと言っている訳ではありません。大事なのは、科学技術や文化の発展と共に、地球環境をより良くする行動と両立させていくことです。現状維持ではなく、どのように持続可能な状態に移行していけるのかを私たちは考えなければいけません。

より良い未来を作る仕組みをサステイナブルと言う観点でつくるとしたら、エシカルはあなたが、私が、個人が、より良い未来を作っていくために何をするか、どうするかを決めることです。一人ひとり違う、自分自身のあり方、人と社会の関わり方を考えるのがエシカルだ、と稲葉さんは言います。

私たちが普段使っている携帯電話、パソコン、一つをとっても背景にはさまざまな物語があります。例えば、服一枚を見ても、バングラデシュの「ラナプラザの悲劇」のように縫製業の過重労働があるかもしれないし、アパレルの店員さんたちが足を棒にして売っているのかもしれない。つながりの中で、いいことや悪いことが存在することは自明で、どちらか一方だけが存在することはありえません。

※「ラナプラザの悲劇:2013年4月24日、バングラデシュ人民共和国の首都、ダッカから北西約20キロの街・サバールで起きた商業ビル「ラナプラザ」の崩壊事故。縫製業に関する最大の事故として世界に知られている。ビルの倒壊で亡くなった方は1100名以上。負傷者は2500人以上、行方不明者は500名以上という大惨事だった。崩壊の原因がミシンの振動や発電機によるためであり、亀裂があり使用停止を言い渡されていたのにもあったのにもかかわらずビルのオーナーは営業を続け、守られるべき多くの命が失われた。違法な増築も原因の一つとされている。

パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードさんの言葉も紹介してくださいました。

「もしあなたが、世界で起きている問題を知っているのに何も取り組まなければ、あなたも問題の一部になる。でも、あなたが勇気を出して何かに取り組めば、あなたは解決の一部になる。」

稲葉さんの発表資料より

反作用が起きることを恐れない

エシカル=環境、ではありません。稲葉さんは、「あなたはどう生きますか?」という問いであり、より良い未来につなげるための自分自身の行動規範だと何度も強調されていました。自分自身の規範=エシカルに基づきながら、どのような未来を作りたいのかを決めて行動すること。そして、その際に生まれる反作用も引き受け、無視したり、誤魔化したりせずに行動することだと。稲葉さんは、反作用の一例として、ご自身が「えしかる屋」で開催しているファッションショーの服装を挙げてくださいました。

 例えば、ビーガン・ファッションを身に纏った女性。エコファーやカポックを身につけています。動物愛護、体質、地球環境などさまざまな要因から、人はビーガンファッションを選択します。一方で、人間も動物だから肉や毛皮を一概に拒絶するのは不自然だという声もあります。羊の革製品を身につけている女性には、産地のアフリカ諸国を応援したいという気持ちがあります。国際協力の観点からこの女性はこのアイテムを選択したわけですが、「国際協力」と「地産地消」も対立する顕著な例です。

彼女たちは、それぞれ自分が守りたい行動規範に沿って行動しているにすぎません。目先では対立しますが、認め合えるものです。一見、真逆の考えで、価値観がぶつかるように見えますが「より良い未来を作る」という目的は一致しています。つまり、認め合える行動規範です。ぶつかり合うものは、認め合いながら、より良い解決策を常に探っていくことができるのです。物事はすべて結局つながりあっていて、切り離すことはできません。

「エシカル」は行動規範ですから、誰にもできますし、何を選択肢しても間違いではありません。身の回りのたくさんのつながりを知って、自分が作りたいより良い未来、ソーシャルグッドに繋がる選択をしていく。これこそが今回のテーマである「エシカルな選択」です。

対立を理解しつつ、その後の改善方法や仕組みづくりを考えることで、一人ひとりが折り合いのつく立ち位置を探すことができるでしょう。

最後に

今回のレクチャーとディスカッションを通して、一人ひとりが自分らしく「エシカルな選択」をするにはどう考えればよいか、選択するためのヒントを得ることができたと思います。自分オリジナルの行動規範「マイ・エシカル」を決め、一人ひとりがより良い未来を目指して、違うことをやることにより、相乗的に社会がよくなっていくことを期待します。

S.C.P. Japanは、BreakTalksを通して今後も多様なゲストや様々な活動を紹介し、多様な人々が集まる場となることで、多様性や共生社会についてより深く考えるきっかけを作りたいと考えています。

最後に本企画を実施するにあたり、参加を快くお引き受けいただきました稲葉さん、運営面で動いてくださったスタッフ、手話通訳の皆様、そしてご参加いただきました参加者及び関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

【報告】開発と平和のためのスポーツ国際デー特別ウェビナー「運動プログラムとゲームベースアプローチ(GBA)」開催(2022.4.6)

「開発と平和のためのスポーツ国際デー(International Day of Sport for Development and Peace: IDSDP)」の4月6日(水)に、一般社団法人コーチトラスト協力のもと、特別オンラインイベントを開催しました。

「開発と平和のためのスポーツ国際デー(International Day of Sport for Development and Peace: IDSDP)」とは、スポーツの平和と開発を促し、寛容と相互理解を育む側面に着目して開発と平和に資するスポーツの活用について啓発する日と定められています。

今回のイベントでは、S.C.P. Japanの運動共育プログラムでも採用しているゲームベースアプローチ(GBAs:Game-Based Approaches)について、一般社団法人コーチトラスト代表理事であり、筑波大学体育系准教授の松元剛先生をお招きし理解を深めるとともに、S.C.P. Japanのプログラムを事例に、GBAsの考え方や、なぜGBAsが今求められているのか、学術的背景を踏まえて解説いただきました。

まずは、松元先生より一般社団法人コーチトラストの活動をご紹介いただき、ゲームベースアプローチ・プロジェクトの活動や引退競走馬支援プロジェクトについての紹介がありました。

次に、GBAsを実践で活用している事例として、S.C.P. Japanの運動共育プログラムの紹介を行いました。指導者が一方向で教えるのではなく、指導者を含めその場にいる人たちが対話を通して多様な個人を認め合う空間を共につくっていくことから、共に育むと書いて「運動共育プログラム」と表記しています。

S.C.P. Japanの運動共育プログラムには2種類のプログラムがあり、バルサ財団と連携して開催する「FutbolNetプログラム」と、S.C.P. Japanが主催する「ハッピーサッカー教室/ハッピースポーツ教室」について紹介しました。

「FutbolNetプログラム」においては、運動ゲーム自体が誰でも参加できるものとなっており、ゲームを通して多様性理解を深め、協力や尊重などの価値観について経験的に理解を深めています。また、運動ゲームに加えて必ずセットで「対話」の時間を設けることで、コミュニケーション能力などの社会的スキルを身につけることも目的としています。

同様に「ハッピーサッカー教室/ハッピースポーツ教室」においても、運動ゲームを通して子どもの権利について学ぶ機会を設けたり、ジェンダーについて経験的に考えるための運動ゲームを実施していることを紹介しました。

S.C.P. Japanの運動共育プログラムの紹介を受けて、松元先生は「まさに、ゲームベースアプローチの実践ですね」と話した上で「ゲームベースアプローチ(GBAs)とは何か?」を学術的に解説しました。

GBAsはスポーツのコーチング方法としてグローバルスタンダードであり、草の根のスポーツプログラムからトップアスリートの指導法まで幅広く活用されている理論です。特にラグビーなどの集団スポーツにおいては、以前より「Game Sense」という言葉で研究・実践されていた理論でもあります。

GBAsでは、学習者(プレーヤー)が「ゲーム形式(修正された・誇張されたゲーム)」の実践を通して「気づき(戦術的、社会的課題)」を得て、その気づきから「実践する力(技能、社会的スキル)」を身につけるというサイクルを繰り返します。

「ゲーム形式(修正された・誇張されたゲーム)」とは、学習者(プレーヤー)にとって必要な「気づき(戦術的、社会的課題)」が何であるかを指導者(ファシリテーター)が事前に考え、学習者(プレーヤー)が「気づき(戦術的、社会的課題)」を学ぶための修正がなされたゲームのことです。指導者がその場に複数いるのであれば指導者(ファシリテーター)間で情報共有が行われます。このようなゲーム形式を選択することが指導者(ファシリテーター)の役割の一つだそうです。

また、GBAsのサイクルのお話だけでなく、指導者(ファシリテーター)が指導(支援)する上でのポイントのお話もありました。「多くの質問をする」「あまり答えを与えない」というポイントにおいて、実際の現場では指導者(ファシリテーター)が答えを急いで提示してしまうことがあるそうです。「いかに答えを急がず、指導者(ファシリテーター)が我慢できるかも大切だ」と話しました。

松元先生からのGBAsについての学術的解説のあとは、質疑応答の時間になり、S.C.P. Japanのメンバーからの質問も含めて、多数の質問が寄せられました。松元先生は、一つ一つの質問に対して丁寧に、質問者のフィールドを確認しながら回答しました。

GBAsは、一つのスポーツ指導モデルであり、競技スポーツといったトップアスリートへのアプローチはもちろんのこと、多様な人たちがこの指導モデルをツールとして共に理解しながら主体的にゲームに取り組む場になっているとのことです。

まだまだ質問も尽きない中、時間も限られていましたので、参加された皆さまと共に最後は写真撮影を行いました。今回のイベントを開催した4月6日の「開発と平和のため国際スポーツデー」には、世界中の人たちがホワイトカードでスポーツを通じた平和促進の意思表明をするデジタルキャンペーンが行われています。

【お知らせ】ウィメン・ウィンの「オンサイドファンド」から助成金を獲得。スポーツを通じたジェンダー平等プロジェクト開始

S.C.P. Japanはオランダを拠点にスポーツを通じたジェンダー平等を国際的に推進する非営利団体のウィメンウィン(Women Win)が運営・実施をする、「オンサイドファンド(ONESIDE Fund)」からプロジェクトの助成金の対象団体として選ばれました。

オンサイドファンド(ONSIDE Fund)は、全ての女性と女児が平等にスポーツにアクセスできる権利を保証するために、各国・各地域の特徴に応じたローカルな解決策の提案を推奨するために開始され助成プログラムです。また、20代を中心とした組織であり、フェミニズムの視点に立ったプロジェクトを実施している団体を助成金の対象団体としています。オンサイドファンドは、全てのシスジェンダー、トランスジェンダー、ノンバイナリーの人々を支援し、社会構造上、不利な立場にある、黒人、先住民、混血、有色人種、LGBTQ+、難民、移民コミュニティの女性と女児(障がいの有無に関わらず)への支援を重点においています。

ONSIDE Fundのウェブサイト:https://www.onsidefund.org/

本助成には、世界105か国836のプロジェクトが申請し、第1弾セレクションと第2弾セレクションを経て49のプロジェクトが助成対象プロジェクトとして選定されました。S.C.P. Japanは第2弾セレクションで対象団体として選定されました。アジア・大洋州地域からはS.C.P. Japanの他に、ネパール、パプア・ニューギニア、インド、パキスタン、ラオス、サモア、スリランカの団体が選定されました。

S.C.P. Japanは本プロジェクトの中で「女性らしさの再定義」をテーマに映像制作を行う予定です。サッカー界やプライドハウス東京とも連携しながらプロジェクト進めていきたいと思います。

※ウィメン・ウィン(Women Win)とは
2006年にスポーツを通じてジェンダー平等社会を目指すことを目的に、オランダのアムステルダムに設立された非営利組織です。世界中の女性と女児が安全・安心にスポーツにアクセスできる環境を整えるともに、現地の文化に合わせて、スポーツを通じた多様な教育・啓発プログラムを現地のパートナー団体と展開しています。2019年には世界36か国56のパートナー団体の活動に協力し、これまでに400万人以上の女性たちの活動をサポートしています。

Women Winのウェブサイト:https://www.womenwin.org/

【報告】第一回BreakTalks「テーマ:LGBTQ」(ゲスト:村上愛梨さん)を開催いたしました。(2021.6.15)

6月15日(火)、S.C.P.Japanは、第1回目となるBreakTalksを実施しました。今回はプライド月間である6月の開催にちなんで、今年4月に同性パートナーの存在を公表した現役ラグビー選手の村上愛梨(むらかみ あいり)選手をゲストに招き、「性の多様性とスポーツ〜誰もが自分らしくプレーできる環境の重要性と共生社会のために一人ひとりができることを考える〜」をテーマに開催しました。

村上愛梨選手は、東京のラグビーチームである横浜武蔵野アルテミ・スターズに所属し現在はラグビー選手として活躍していますが、2015年までは東日本地域リーグの秋田銀行でバスケットボール選手としてプレーしていました。2019年には、ラグビー15人制日本代表として国際試合も経験しています。今年4月、代表クラスの現役選手としては初めて、同性パートナーがいることを公表し、SNSを通して同性婚の自由をはじめとするLGBTQに関する発信を行うとともに、悩みを抱える当事者の声に耳を傾け、自身のプラットフォームを活用した積極的な活動を行なっています。

前半のゲストトークでは、S.C.P. Japanでインターンをしている折目が、インタビュー形式で村上選手のこれまでの経験や現役アスリートとしてカミングアウトに至った想い、今の社会やスポーツ界に求めることなどについて思いを伺いました。

・カミングアウトをすることを決心したのは?

子どもの頃から、セクシャリティを隠すことやセクシャリティで悩むことに疲れていたため、ずっと隠すことをやめたいと思っていました。現在所属しているラグビーチームに加入した時に、コーチやチームメートがアットホームな雰囲気で自身を受け入れてくれたこと、そして現在の同性パートナーがセクシャリティに関してオープンでありカミングアウトに賛成してくれたこと、怪我により日本代表を離れたことで代表選手時代に比べてSNS上で個人の発言が述べやすくなったことなどのタイミング重なってカミングアウトを決意しました。

私はたまたまカミングアウトをしましたが、LGBTQ当事者のカミングアウトは個人の判断で行うものであり、カミングアウトに関する考え方も多様です。そもそもカミングアウトをしなくてはならないのがおかしな事であり、セクシャリティに関わらず、恋人やパートナーのことを話すことが出来るカミングアウトが必要ない社会が理想と考えています。

・セクシャリティで悩んでいた時のことと当事者へのメッセージ

高校時代LGBTQ当事者であるという理由で周りからのいじめを受けたり拒否されたりするなどのつらい経験がありました。そんな時、母親や学校の友人が支えてくれました。また、現在所属するチームのコーチが温かく受け入れてくれる方でそのコーチの雰囲気がチームメートに伝わり、チーム全体の雰囲気が温かく、自身が安全な場所にいるということを感じることが出来ました。私もそのように雰囲気を作れるような人になりたいと思っています。いじめにあっていた時はLGBTQであることは自分の弱点だと思っていましたが、今は個性の一つだと思っています。

セクシャリティについて悩むことがある時、LGBTQ当事者と話すことを勧めます。以前に比べて当事者コミュニティも大きくなり、当事者と繋がる機会は増えたように思います。私自身、つらい時相談にのってもらう機会がなかったため、自分が相談を受ける立場としてセクシャリティで悩む子どもたちの力になりたいと思います。現在SNSを通じて無料相談を行っているので、お気軽にご相談ください。

後半は、村上さんと参加者でディスカッションを行いました。今回のBreak Talksには、LGBTQ を取り巻く状況や問題についてこれまで馴染みがなかった人、スポーツに興味がない人、スポーツ競技の指導に携わる指導者の方など、様々な考えやご経験を持つ人たちが参加しました。

参加者から、「LGBTQ選手を応援するにはどのような方法があるのか、村上さんはチームに所属してからチームの温かい雰囲気を感じたとのことだが、LGBTQ当事者にとってチームに入る前はチームの雰囲気やLGBTQ当事者に対する考え方は分かりづらいのではないか、そんな中で指導者として自分が指導しているスポーツ団体がLGBTQ当事者に共感していることや、チームメートとして積極的に受け入れるスタンスであることを示すにはどのような方法があるのか、普段の生活の中で当事者と接するうえでどのような配慮が必要か」など、たくさんの質問がありました。これに対して、村上選手が自身のこれまでの経験を共有したり、考えを説明しました。また、参加者同士でも積極的に意見を交わしたりすることで、参加者がLGBTQや多様性に関して考えるとともに、他者の考えを知る機会となりました。

最後に、村上選手はメッセージとして、LGBTQ当事者の方たちに寄り添うことを示す「アライ」という立場や取り組みについて紹介し、LGBTQであってもなくても「アライ」が増えることでカミングアウトが必要のない世界に繋がるのではないかとコメントしました。また、自身がいじめ、拒否にあっていた子ども時代の思いから、LGBTQだけでなく、悩みを抱える子どもたちはたくさんいるはずであり、大人たちが子どもに手を差し伸べることの重要性を伝えました。

S.C.P. Japanは、BreakTalksを通して今後も多様なゲストや様々な活動を紹介し、多様な人々が集まる場となることで、多様性や共生社会についてより深く考えるきっかけを作りたいと考えています。

多種多様な方々20名にご参加いただき、参加者及び関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。

最後に本企画を実施するにあたり、参加を快くお引き受けいただきました村上選手、そして運営面で動いてくださったボランティアスタッフ、手話通訳の皆様に心より感謝を申し上げます。

【告知】BreakTalksいよいよ始まります!第一回テーマは「LGBTQ」!

BreakTalksは、「一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来を創る」を統一テーマに、多様なゲストをお招きし共生社会について議論するオンライン(時々オフライン)イベントです。多様なゲストや様々な活動を紹介し、多様な人々が集まる場となることで、多様性とは?共生社会とは?をより深く考えるきっかけを作ることを目的としています。

プライド月間*でもある6月のBreakTalksは、4月に同性パートナーの存在を公表した現役ラグビー選手の村上愛梨(むらかみ あいり)選手をゲストに招き、「LGBTQ」をテーマに開催致します!

*プライド月間(Pride Month)とは?
LGBTQの人権に関する運動の転換点といわれるストーン・ウォールの反乱が起こったのが1969年6月28日だったことから、6月はプライド月間(Pride Month)と呼ばれている。世界各地でLGBTQコミュニティを祝祭し、サポートを示すイベントが開催され、性自認・性的指向・性表現にかかわらず、誰もが自分らしくいられる社会を歓迎するための重要な期間である。

日時:2021年6月15日(火)20:00〜21:15

今回のテーマ
性の多様性とスポーツ〜誰もが自分らしくプレーできる環境の重要性と共生社会のために一人ひとりができることを考える〜

イベント内容:※内容は一部変更になることがあります。

  1. 主催団体紹介/ゲスト紹介(15分)
  2. ゲストトーク(25分)※インタビュー形式
    村上選手のこれまでの経験や現役アスリートとしてカミングアウトに至った想い、今の社会やスポーツ界に求めることなど、素朴な疑問をぶつけていきます!
    ※聞き手:折目真地(S.C.P. Japanメンバー/大学院生)
  3. オープン議論/Q&A(25分)
    参加者の方からの質問に答えながら、皆さんと一緒にLGBTQや多様性、共生社会について考えます。
  4. クロージング

ゲスト紹介:村上 愛梨(むらかみ あいり) 選手(@jinwagorira

東京のラグビーチーム、横浜武蔵野アルテミ・スターズ所属。現在はラグビー選手として活躍中であるが、2015年までは東日本地域リーグの秋田銀行でバスケットボール選手として3年間プレーした。銀行員時代に初めて観戦したラグビーの試合で、選手同士がぶつかり合う音に感銘を受け、ラグビーへの転向を決意。2015年にラグビーを始め、日本ラグビー協会の女子7人制種目転向者向けトライアウトに合格した。2019年には、ラグビー15人制日本代表として国際試合も経験している。今年4月、代表クラスの現役選手としては初めて、同性パートナーがいることを公表。アスリートであり性的マイノリティ当事者でもある自身の経験について共有し、LGBTQに対して閉鎖的なスポーツ界から声を上げた。SNSでは、同性婚の自由をはじめとするLGBTQに関する発信を行うとともに、悩みを抱える当事者の声に耳を傾け、自身のプラットフォームを活用した積極的な活動を行なっている。

【村上選手の記事はこちら】
朝日新聞デジタル「ラグビー女子日本代表が同性愛を公表 助言に勇気づけられて」、2021年4月26日
Number Web「高校時代は同性の恋人が『大問題になってしまった』…ラグビー・村上愛梨が“同性婚の自由”を訴え続ける理由」、2021年5月9日

■参加対象:誰でも参加OK!
 ※ボランティア手話通訳あり。U Dトークなどをお持ちの方は併用でご使用ください。

■方法:オンライン開催「Zoom」(オンライン会議システム)を使用

参加費:無料

※S.C.P. Japanは一人ひとりが自分らしく歩める未来を皆さんと一緒に創っていきたいと思っています。皆さんと情報共有をしたり、実際に多様な人たちが集まる場づくりを大切にしています。S.C.P. Japanの活動に賛同し、応援してくださる場合は、500円から皆さんのお気持ちに合わせて参加費として任意でご寄付をご検討いただけますと幸いです。

<BreakTalks応援寄付ページ>https://checkout.square.site/merchant/MLFJE3VBHV9PV/checkout/2OVCCOTTHYM4ED343ILCQAHJ

※お申込みは6月13日(日)18時までとさせていただきます。

【報告】WEリーグが主催する「第二回WE MEETING」にて講師をさせていただきました。(2021.5.6)

2021年5月6日(木)に一般社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)が主催する「第二回WE MEETING」にて共同代表の野口亜弥が講師を務めさせていただきました。

WEリーグとはWomen Empowerment Leagueの略称であり、今年の9月に開幕する日本初の女子のプロサッカーリーグです。女子サッカー、スポーツを通じて多様性の溢れる社会、女性が輝く社会を実現することが理念として掲げられています。

第二回WE MEETINGでは、「サッカーを通じて女性がエンパワーメントされるとはどういったことなのか」、「誰もが力を発揮できるスポーツ文化をどのように作っていくべきなのか」、そして「多様性が尊重される社会の実現にスポーツはどのように貢献できるのか」について、ジェンダーの視点から選手の皆さんとディスカッションさせていただきました。

WE MEETINGを経て、WEリーグの行動規範である「クレド」の開発が進められています。
日本のスポーツ界の歴史的な瞬間に関われたことは大変嬉しく、光栄な機会をいただき感謝しています。

尚、「第一回WE MEETING」の様子はWEリーグのホームページよりご覧いただけます。

【お知らせ】本建て正藍染の彩来デザインとコラボ企画。S.C.P. Japanのユニフォームを制作しました。

この度、S.C.P. Japanは本建て正藍染の「彩来デザイン」とコラボして、S.C.P. Japanのユニフォームを制作しました。

本建て正藍染とは、室町時代から続く日本古来の技法で、染めの工程で使われる全ての原料が土に還ることのできる、最もエコの藍染方法です。(彩来デザインのリーフレットより抜粋)

「一人ひとりが自分らしく歩んでいける未来を創る」というビジョンを掲げて活動をしている私たちは、スポーツを通じて共生社会の実現を目指しています。共生社会は、多様な人々と共に豊かに生きるだけではなく、私たちが生かされている場所、環境や自然をも大切にしていくことだと考えています。場所、自然や環境に対して愛情を持つことができる活動を当たり前にしていくだけでなく、共感してくれる仲間をスポーツを通じて増やしていきたいと思います。

元プロサッカー選手の品田彩来さんに上記の私たちの想いをお伝えさせていただいたところ、品田さんが引退後に「彩来デザイン」として取り組む「本建て正藍染」の方法で、着なくなった古着をアップサイクルしてS.C.P. Japanのユニフォームとして活用させていただくことになりました。

このコラボレーションをきっかけに、私たちの活動の中に少しずつ環境や地球について考えられる取り組みを取り入れていけたらと思っています。

彩来デザインとは?

彩来デザインでは、「もっともエコな藍染」とされる本建て正藍染を通して、個人でできるサステナブルライフを提案します。伝統的な日本古来の技術と、アメリカ・スウェーデン・フィンランド・スペインで計10年間過ごしてきた中で培われた現代的なインスピレーションによる意匠を融合させたデザインで、今までにない藍染の姿を表現します。伝統やエシカルという言葉に対して肩に力を入れずに、この技法でしか出せない独特の色合いを楽しみながら、環境にも優しくありたい。彩来デザインは、ファッションとエコを両立させる、新しい時代のスタイルを目指しています。
千葉県大網白里市の海岸近くにある正藍染工房は、安政年間創業の大矢織物の蔵の一室をお借りしています。古くから建っている木造の蔵は醗酵を促すには最適で、より独特な藍色を作ることができます。お手元にある服の染め直し、自己ブランドとのコラボレーション、日常と少し違った風景での1日正藍染体験など、お気軽にお声がけください。

S.C.P. Japanとのコラボに至った理由

ジェンダーフリーの観点から、ユニセックスの製品にも積極的に取り組んでいきたいと考えていた中、今回のS.C.P.Japanさんとのコラボはまさに最高の企画でした。
ネット社会の発達により、以前よりも少数派が声を上げやすくなったり、ニッチなところで繋がることができて仲間が作りやすくなったりしてきているように感じますが、まだまだ全体的な社会での共生という部分では改善されるべきことがたくさんある気がしています。だからこそ、共感できる仲間と繋がって共に声を上げていくことがとても重要だと思います。今回のコラボを機に、少しでも誰かの心に多様性についてや環境問題について関心を持つきっかけを作れていたら幸いです。

彩来デザインの日々の様子はInstagramから。

【報告】ダイバーシティサッカー協会主催「Women Empowermentと女子サッカー」に登壇させていただきました。(2021.3.9)

2021年3月9日(火)にNPO法人ダイバーシティサッカー協会が主催するSaturday Night Diver 「Women Empowerment と女子サッカー」に共同代表の野口が登壇させていただきました。

NPO法人ダイバーシティサッカー協会(以下、HPより引用)

ダイバーシティサッカー協会は、多様な背景を持つ人がスポーツを通じて自分らしく生きられる社会を目指して2017年7月に設立されました。

2008年にNPO法人ビッグイシュー基金のクラブ活動として発足したホームレス当事者や経験者によるサッカーチーム野武士ジャパンを中心に、多様な社会的困難を抱える当事者と支援者が作るチームのネットワークによって、「居心地のいい」サッカーやスポーツの実践を広げるために活動しています。

過去3度ホームレス・ワールドカップに出場した野武士ジャパンのメンバーは、その後それぞれに自立へのステップを歩んでいきました。彼らが経験した晴れ舞台を、もっと身近なところでより多くの人たちにも経験してほしい。

そんな想いから、2015年に最初のダイバーシティカップが開催されました。以後、ホームレス、うつ病などの精神障害、LGBT、難民、フリースクール、児童養護施設出身、不登校、ひきこもり、依存症など、様々な社会的困難を抱えた当事者と支援者のべ1,500人以上が、ダイバーシティカップでフットサルを通じて交流し、相互理解を深めてきました。

2020年3月には特定非営利活動法人として登記。誰もが生きやすい社会をスポーツを通じて実現していくために、居場所づくり応援、調査・研究、海外とのかかわりなど、ますます活動の幅を広げていきます。

ダイバーシティサッカー協会の代表理事の鈴木直文先生は研究者としていつも学ばせていただいているので、今回お声かけいただけたのは大変貴重な機会でした。NIKE JapanのCMをきっかけに、女子サッカーにはマイノリティを包摂する力があるのではないか?という切り口は非常に斬新で、これまでにないスポーツとジェンダーの話となりました。星野智幸先生の「男子サッカーからは苦しさを感じ、女子サッカーからは解放感を感じる」という視点も、非常に鋭い視点で議論が盛り上がりました。

また現役のジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手であり、なでしこの選手たちの社会貢献活動を推進する一般社団法人なでしこケア(なでケア)の創設者である大滝麻美さんからはより現場に近い女子サッカー選手の現状や海外での選手経験やFIFAマスターズでの経験から女子サッカーとWEリーグへの想いを聞くことができました。

女性の選手、指導者、スタッフ。サッカー界で活躍するすべての女性が女の子の道標になる可能性を秘めるWEリーグに大いに期待するとともに、決めきらない、グレーゾーン、あいまいさを残すことで獲得できる多様性の享受など、女子サッカーが多様性や共生社会について議論できるプラットフォームになれる可能性が大いにあるように感じるディスカッションとなりました。

イベントの様子はYoutubeから全てご覧いただけます。